近年、ファッション業界ではブランド価値の高度化とグローバル展開が鍵を握っています。そんな中、クリエイター兼ブランドデザイナーとして注目を集める HUMAN MADE(ヒューマンメイド)を展開する HUMAN MADE株式会社 が、2025年11月27日に 東京証券取引所グロース市場への新規上場(IPO)を実施することとなりました。ブランド力の強さに加え、国内外での成長戦略が注目される同社の上場は、投資家にとっても興味深い機会となるでしょう。
本稿では、会社概要からオファリングの詳細、株価に関する考察、そしてこのIPOの特殊なポイントまで整理してまいります。
会社概要・事業内容
HUMAN MADE株式会社は、2016年2月5日に設立された企業で、紳士服・婦人服・子供服および装飾雑貨の製造・販売を主な事業としています。 ブランド「HUMAN MADE」は、クリエイターとして著名な NIGO氏が関与し、品質やディテールにこだわった商品展開により高いブランド価値を築いています。 直営店舗およびオンラインストアを通じて国内外に流通を拡大しており、特に海外チャネルにも強い展開意欲を示しています。
IPO時のオファリング概要
証券コード:456A
上場市場:グロース市場(東京証券取引所)
業種:小売業(衣料品・装飾雑貨)
想定価格:2,920円
公募株数:931,400株
売出株数:4,740,000株
オーバーアロットメント:850,700株
オファリング株数合計:5,771,400株(公募 + 売出 + オーバーアロットメント)
想定公開規模:190.4億円(想定価格ベース)
時価総額(上場時想定):約669.0億円
仮条件決定日:2025年11月10日
ブックビルディング期間:2025年11月11日〜11月14日
公開価格決定日:2025年11月17日
購入申込期間:2025年11月18日〜11月21日
上場日:2025年11月27日
主幹事証券:野村證券株式会社
株価についての考察
想定価格2,920円という設定に対して、前期実績の利益・純資産から算定された予想PERやPBRを勘案すると、やや成長期待を織り込んだ水準と見受けられます。 同社の売上高・利益ともに直近年で急速に拡大しており、オンライン中心のチャネル構成である点も収益性改善を期待させる材料です。 一方で、公開株数・売出株数ともに規模が大きく需給面では慎重にならざるを得ないという見方もできます。需給が緩むと初値が想定価格を上回る余地が限定される可能性があります。さらにアパレル業界特有のリスク(トレンド変化・原料コスト上昇等)も念頭に置く必要があります。総じて、初値上昇の可能性はあるものの過度な急騰を期待するのではなく、成長ストーリーを中長期で捉えることが賢明でしょう。
当該IPOの特殊なポイント
本IPOの特殊なポイントとしてまず挙げられるのが、ブランド力の強さとそれを裏付けるクリエイティブ人材・コラボレーション戦略です。NIGO氏による監修と、多数のブランドコラボを通じて「HUMAN MADE」というブランドが確立されており、競争優位性を一定程度持っています。 また、売出株数の多さ=上場前既存株主の売却比率が高いという点も留意点です。既存株主による株式売出しが多いと、上場後の株価下落リスクが高まる可能性があります。加えて、調達資金の使途が国内直営店出店・EC強化・海外子会社設立という明確な成長投資に充てられるという点も特徴的です。 これらの点から、「ブランド×グローバル展開」のテーマ性を持ちながらも、需給・公開株数という観点からは慎重になりうるIPOであると言えます。
まとめ
HUMAN MADE株式会社のIPOは、ブランド力を背景に成長性を評価できる案件である一方、公開株数の大きさやアパレル業界特有のリスクという点も忘れてはなりません。投資を検討される際には、まずブックビルディングの仮条件・公開価格を確認し、さらに上場後の売れ行き・チャネル拡大ペースなどをウォッチすることが重要です。初値の動向も興味深いですが、むしろ中長期的なブランド拡大戦略に共感できるかどうかが鍵となるでしょう。



