【IPO】477A 株式会社スタートラインの新規上場

障害者雇用という社会的テーマに一貫して向き合い、企業の採用・定着支援を包括的に手掛けてきた株式会社スタートライン(証券コード477A)が、東証グロース市場に新規上場します。わが国で障害者雇用が法制度面でも企業経営面でも重要性を増す中、同社の事業は「社会的インパクト」と「持続的な収益性」の両立を志向するものとして注目されています。本稿では、オファリング概要、需給、業績推移、株価評価および特徴的なポイントを体系的に整理し、今回のIPOが持つ投資的意味合いを考察します。

会社概要・事業内容

株式会社スタートラインは2009年12月に設立され、東京都三鷹市に本店を構えています。同社は「障害者の雇用支援および就業支援」を中核事業としており、企業側の受け入れ体制整備から採用・職場定着支援まで一連のプロセスをワンストップで提供してきました。

なかでも、屋内農園型雇用支援サービス「IBUKI」は特徴的な事業モデルです。企業が自前で適切な職場環境を用意することが難しい場合でも、農園という作業環境そのものをアウトソースする形で障害者雇用を成立させられる点が強みで、働く側・企業側双方の課題に同時に応えてきました。

財務面では、直近5期連続で売上高が増収基調を維持しており、利益面も改善傾向にあります。2026年3月期の業績見通しも増収増益が計画されており、収益力の底上げが進んでいることが確認できます。

IPO時のオファリング概要

証券コード:477A

上場市場:東証グロース

業種:サービス業

想定価格:440円

公募株数:1,400,000株

売出株数:60,000株

オーバーアロットメント:219,000株

オファリング株数合計:1,679,000株

想定公開規模:約7.4億円

時価総額(上場時想定):約17.2億円

仮条件決定日:2025年12月4日

ブックビルディング期間:2025年12月5日〜12月11日

公開価格決定日:2025年12月12日

購入申込期間:2025年12月15日〜12月18日

上場日:2025年12月22日

主幹事証券:みずほ証券

株価についての考察

スタートラインの想定時価総額は約17.2億円、吸収金額は約7.4億円と、典型的な「小型IPO」に分類されます。一般的に小型案件は需給面から初値が上昇しやすい傾向があり、本件も同様の需給構造を持っています。

留意すべきはオファリングレシオ58.1%という点です。小型IPOとしてはやや高めであり、初値形成では一定の供給圧力となり得ます。ただし、公募比率が高い(売出が少ない)ことで、既存株主の利益確定売りが限定される点はプラス材料です。

専門サイトの初値予想では1.3倍〜1.5倍(約572〜659円)のレンジが示されており、需給と事業ストーリーを踏まえると「堅めの初値上昇」シナリオがメインと見られます。一方で、超過利得を狙うタイプのIPOではなく、過度な期待値を置かずに“適度な上昇”を基準とするのが妥当です。

当該IPOの特殊なポイント

まず注目すべきは、同社が扱うテーマの社会的意義の大きさです。障害者雇用は法定雇用率の引き上げも含め、企業が避けて通れない重要領域であり、政府・企業ともに対応の強化が求められています。こうしたマクロ構造の中で、スタートラインのサービスは「制度 × 実務支援」という両側面を支えるインフラ的機能を果たしています。

第二に、本IPOは極めて小型案件であることが、初値形成における最大の需給要因です。加えて、主要株主に対して180日間のロックアップが設定されているため、上場初期の売り出し圧力が抑制されています。

第三に、利益率・自己資本比率といった財務指標はまだ改善途上にあります。成長市場向けの上場基準を満たす水準にはあるものの、“社会性とテーマ性先行”の銘柄であり、収益面での加速は今後の重要な評価軸となります。

まとめ

株式会社スタートラインのIPOは、障害者雇用という社会的テーマの高さ、スモールキャップによる需給妙味、そしてロックアップの厳格さなど、初値形成にプラスの要素が揃った案件です。一方で、オファリングレシオ58.1%や利益率の改善途上といった慎重さも必要であり、過度な期待を置かない堅実なスタンスが求められます。

総じて、本件は「テーマ性 × 小型IPO × ロックアップ」と三拍子揃った良質な案件であり、初値取得狙いの投資家にとっては参加優先度が比較的高い部類に入ります。上場後は業績の進捗と企業向けサービスの拡大ペースを丁寧に追うことが、投資の成否を左右するでしょう。