テラテクノロジー株式会社(証券コード483A)は、公共・通信・金融など社会性の高い分野を中心にシステム開発を手掛けてきた独立系のシステム開発会社です。2025年12月23日、同社は東京証券取引所スタンダード市場へ新規上場する予定であり、安定した収益基盤と高い財務健全性を備えた「ディフェンシブ銘柄」として、投資家の注目を集めています。本記事では、事業内容とオファリングの詳細、株価の見立て、このIPOならではのポイントを整理していきます。
会社概要・事業内容
テラテクノロジーは1991年2月12日に設立され、本店を東京都豊島区東池袋三丁目4番3号「池袋イースト」に置くシステム開発会社です。現在の資本金は2,000万円で、同社と連結子会社1社(知識工学株式会社)から成るグループ体制を敷いています。
事業内容はシステム開発事業の単一セグメントで、要件定義から設計、プログラム開発、インフラ構築、テスト、運用・保守まで、一貫したサービス提供を行っている点が特徴です。対象分野は公共、通信、情報サービス、金融、製造その他の5つに分かれており、政府・自治体や大手通信事業者向けの社会インフラ系システムを数多く手掛けてきました。公共・通信分野で求められる24時間365日稼働や高いセキュリティ水準に応える中で、同社はプロジェクトマネジメント力とインフラ技術を蓄積しています。
さらに、クラウド基盤構築やローコード開発を活用したデジタルワークフロー構築など、情報サービス分野でも案件を拡大しています。2022年にはビジネスチャットサービス「ChatCo!(チャトコ)」をリリースするなど、自社サービスも展開しつつ、受託開発を中核とした安定的なビジネスモデルを維持している点が同社のカラーです。
業績面では、2025年3月期連結決算で売上高43億87百万円、経常利益5億20百万円、親会社株主に帰属する当期純利益3億74百万円と、近年は売上・利益ともに右肩上がりを継続しています。自己資本比率は70%台前半と高水準で、借入に依存しない堅実な財務体質がうかがえます。
IPO時のオファリング概要
証券コード:483A
上場市場:東証スタンダード市場
業種:情報・通信業
想定価格:2,090円
公募株数:0株
売出株数:570,000株
オーバーアロットメント:85,500株
オファリング株数合計:655,500株
想定公開規模:13.7億円程度(想定価格ベース、OA含む)
時価総額(上場時想定):37.6億円程度(想定価格ベース)
仮条件決定日:2025年12月5日
ブックビルディング期間:2025年12月9日〜2025年12月12日
公開価格決定日:2025年12月15日
購入申込期間:2025年12月16日〜2025年12月19日
上場日:2025年12月23日
主幹事証券:SBI証券
株価についての考察
想定価格2,090円ベースで見ると、テラテクノロジーの想定時価総額は約37.6億円、吸収金額はオーバーアロットメントを含めて約13.7億円と試算されます。東証スタンダード市場の中では小型から中型に位置づけられる規模であり、需給面で極端な重さは感じにくいレンジです。
足元の業績と指標を踏まえると、想定価格水準でのPERは9〜10倍程度、PBRは1.4〜1.5倍程度、配当利回りは3%台前半という試算が一般的です。IPO銘柄としては比較的高めの配当利回りと、同業スタンダード銘柄と比べても割安感のあるPER水準が組み合わさっており、「成長ストーリーでプレミアムを取る銘柄」というより、「割安・高配当・好財務の三点セット」で評価されるディフェンシブ案件と位置づけられます。
一方で、公募による資金調達がなく、売出しのみであることから、「会社側の成長投資に直接つながる増資」ではない点は、成長株志向の投資家にとっては物足りなく映る可能性があります。ただし、上場規模が重くないことに加え、主要株主にはロックアップが設定されているため、上場直後に大きな売り圧力が出るリスクは抑制されています。こうした構造を踏まえると、初値の大幅な上振れよりも、公募割れを避けつつ小幅な上昇にとどまるシナリオをベースに考えるのが現実的でしょう。
中長期のスタンスでは、景気敏感度が相対的に低い公共・通信・金融向けシステムを主軸とし、リピート率90%超の安定した顧客基盤と高い自己資本比率を兼ね備える点から、「配当と安定成長」を狙うポートフォリオの一角として検討余地のある水準です。
当該IPOの特殊なポイント
テラテクノロジーのIPOで特徴的なのは、第一に「100%売出し案件」である点です。公募増資による新株発行は行われず、社長個人と資産管理会社が中心となる既存株主からの売出しにより、株式が市場へ放出されます。IPOによって会社に新たな資金は入らず、既存株主の換金色が強い構造であることから、「成長資金調達型」ではなく「オーナーサイドのエグジット色が強い案件」として位置づけられます。
その一方で、リピート率90%超という高い顧客の継続利用実績、公共・通信を中心とした社会インフラ系システムの蓄積、受託開発を軸とした安定した収益モデル、そして自己資本比率70%超という強固なバランスシートが揃っている点は、ディフェンシブ銘柄を好む投資家にとって魅力的な要素と言えます。IPO解説サイトや個人アナリストのレポートでも、PER9倍台・配当利回り3%超を評価し、「大きく跳ねる案件ではないが、公募割れリスクは小さい堅実な案件」とするトーンが目立ちます。
また、上場規模は13.7億円とスタンダード市場では過度に重くない水準であり、主幹事が個人投資家の参加比率が高いSBI証券であることから、需給面では一定の支えも期待できます。VC(ベンチャーキャピタル)が入っておらず、上位株主のロックアップも厚めであることから、突発的な大口売りによる需給悪化リスクが相対的に低い点も、この案件の性格を決める要素と言えるでしょう。
まとめ
テラテクノロジーのIPOは、派手な成長ストーリーで短期のマルチプル拡大を狙うタイプではなく、「社会インフラ系システムに強みを持つ独立系SIer」「高いリピート率と堅実な成長」「高自己資本比率と高配当」という三つのキーワードで整理できるディフェンシブ銘柄です。
100%売出しであるため、経営側の成長投資に直接つながる増資案件ではないこと、上場後もしばらくは「安定成長+配当」を軸にした評価になりやすいことは、投資家があらかじめ理解しておきたいポイントです。そのうえで、想定価格水準での割安感と配当利回り、公共・通信・金融など景気の波を受けにくい分野への分散された事業ポートフォリオをどう評価するかが鍵になります。
短期の初値高騰を狙うよりも、中長期で安定したインカムと着実な成長を期待する投資家に、相性の良いIPOと言えるでしょう。スタンダード市場における「守りのIT銘柄」をポートフォリオに組み込みたい投資家は、ブックビルディング段階での需給状況や最終的な仮条件・公開価格の水準を確認しつつ、参加スタンスを検討していきたいところです。



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