沖縄県を代表する老舗ビールメーカー「オリオンビール」が、ついに2025年9月25日、東京証券取引所プライム市場(証券コード:409A)に上場を果たすこととなりました。1957年の創業以来、地元の愛されブランドとして確固たる地位を築いてきた同社が、IPOという形で広く投資家の注目を集める様相は、地域を越えた成長への期待を感じさせます。
会社概要・事業内容
オリオンビール株式会社は1957年5月に沖縄で創業され、「オリオンビール」の名前は1959年に県民公募により採用されました。主力事業は、ビールやRTD(缶チューハイ等)の製造・販売に加え、石川酒造場による泡盛などの製造も含む酒類清涼飲料事業が中心です(売上構成比78.7%)。
観光・ホテル事業にも進出しており、オリオンホテルモトブリゾート&スパや商業施設「TOMITON」、さらに2025年7月開業のテーマパーク「ジャングリア沖縄」への土地賃貸・出資・運営支援も行っています。そのほか、ECやブランドライセンス事業も手がけ、まさに地域に根ざした多角経営を展開しています。
IPO時のオファリング概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 証券コード | 409A |
| 上場市場 | 東証プライム |
| 業種 | 食料品(酒類清涼飲料)等 |
| 想定価格 | 770円 |
| 想定時価総額 | 約314億円 |
| 吸収金額(売出) | 約192億円(OA含む) |
| 公募株数 | なし |
| 売出株数 | 21,672,400株 + OA 3,250,800株 |
| オーバーアロットメント | 3,258,000株の上限売出し予定 |
| 仮条件決定日 | 2025年9月8日 |
| ブックビルディング期間 | 2025年9月9日(火)~9月12日(金) |
| 公開価格決定日 | 2025年9月16日 |
| 購入申込期間 | 2025年9月17日(水)~9月22日(月) |
| 上場日 | 2025年9月25日(木) |
| 主幹事証券 | 野村證券、みずほ証券、SMBC日興証券(共同) |
| 引受証券 | 楽天証券、SBI証券、松井証券 |
| 株主構成 | 野村系ファンド36%、カーライル系34%、アサヒビール9%、近鉄GHD9%、他 |
株価についての考察
想定価格770円に対し、配当額は今期予想40円、配当性向50%目標からの試算では、配当利回りは約5.2%(想定価格ベース)になる可能性があります。PER4.3倍、PBR1.7倍という算出からも魅力度の高いIPOと見られています。
売出株数が多く需給は緩和傾向ですが、過去の統計的傾向では「想定価格が1,000円以下」「IPO間隔が30日以上」といった条件の案件は初値上昇しやすい傾向もあります。とはいえ、その規模やシェアの高さから、初値は小幅上昇にとどまるとの予想もあり、堅実な動きが見込まれます。
当該IPOの特殊なポイント
- 地域ブランドと高シェア:沖縄県内シェアは83.8%(アサヒライセンス含む)と圧倒的で、ECやホテル連携も強み。
- 観光との連動:「ジャングリア沖縄」との連携、観光需要回復と相まって業績追い風。
- 税制優遇の変化:2026年9月末で酒税軽減措置が廃止されますが、オリオンは軽減後の環境でも成長可能な体質を目指しています。
- 資本の再整備:2019年以降、野村・カーライルが経営支援し“第二の創業”として、上場を目指してきた経緯があります。
- 地域と投資家のバランス:沖縄地銀や従業員持株会にも株式引受枠を用意し、「地元関与」を維持しつつも市場評価を受ける構造に配慮されています。
まとめ
オリオンビールのIPOは、地域ブランドの強さ、安定した配当収益性、観光と連携する多角経営などが魅力となる反面、売出株数の多さや酒税制度の変化といったリスクもはらみます。上場によって市場からの評価が問われる局面として、今後の企業戦略と成長の掛け算にも注目です。




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