2025年11月4日、Hameeのプラットフォーム事業を担うNE株式会社(証券コード:441A)が東証グロースに新規上場します。主力のSaaS「ネクストエンジン」はマルチモール・マルチストアの在庫・受注・出荷を自動化する基盤として定着し、親会社からのスピンオフで独立成長を狙う注目案件です。本稿では、事業の要点、確定したオファリング条件、株価の見立て、このIPO特有の論点を投資家目線で整理します。
会社概要・事業内容
NE株式会社は、EC事業者向けSaaS「ネクストエンジン」を中核とするクラウドプラットフォームを提供します。越境やSNSコマースの拡大で販路が複雑化するなか、受注取り込みから在庫連携、物流指示、請求・分析までを一気通貫で効率化する点が強みです。API連携の拡充や自動化の高度化、AI活用によるオペレーション最適化が成長ドライバーで、サブスクリプションを軸に安定的なストック収益を積み上げます。親会社のコマース事業と切り分けた上場により、投資資源の最適配分とKPIの可視化が進み、純粋なSaaS銘柄としての評価獲得が期待されます。
IPO時のオファリング概要
証券コード:441A
上場市場:東証グロース
業種:情報・通信業
想定価格:730円
公募株数:500,000株
売出株数:0株
オーバーアロットメント:75,000株
オファリング株数合計:575,000株
想定公開規模:約4.2億円
時価総額(上場時想定):約120.5億円
仮条件決定日:2025年10月15日
ブックビルディング期間:2025年10月17日~10月23日
公開価格決定日:2025年10月24日
購入申込期間:2025年10月27日~10月30日
上場日:2025年11月4日(火)
主幹事証券:みずほ証券
(引受幹事:SBI証券、楽天証券)
株価についての考察
公開規模が約4億円の小型案件で、しかも売出ゼロの公募中心という需給の軽さは初値にポジティブです。テーマは「SaaS×EC運営効率化×スピンオフ」。個人投資家の物色トレンドとも相性がよく、初値は需給要因での上振れ余地が見込まれます。一方で、中期視点ではSaaS特有の解約率(チャーン)とARPU、顧客獲得コスト(CAC)とLTVのバランスが評価の要。足元の予想では利益の伸びが一服する局面も示唆されており、上場後はKPI開示の透明性と新機能投資の回収ペースが株価のモメンタムを左右します。同業SaaSのバリュエーションと比較した場合、成長率・営業利益率・フリーキャッシュフロー創出力の3点を継続的に検証したいところです。
当該IPOの特殊なポイント
第一に、親会社株主にNE株式を現物配当するスピンオフ方式であること。親会社の事業ポートフォリオから独立させ、資本政策・投資判断をNE単体で完結できる体制を構築します。第二に、売出ゼロで需給がタイトな点。需給妙味は高まる一方、上場後の浮動株は限定的でボラティリティが高くなり得ます。第三に、ストックオプション等の潜在株式が存在する点。株価上昇局面では希薄化リスクが顕在化しやすく、ロックアップ解除時期や行使条件の把握が重要です。総じて、短期は需給、長期はKPIと投下資本利益率(ROIC)の改善トレンドが評価軸になります。
まとめ
NE株式会社の上場は、EC運営の複雑化という構造課題に対するSaaSの解であり、スピンオフによって純粋な成長ストーリーを提示するものです。小型・売出ゼロ・テーマ性の三拍子で初値妙味が見込める一方、上場後は解約率、ARPU、顧客獲得効率、AI機能強化の収益貢献タイミングといった実務KPIの積み上げが株価の持続性を決めます。短期と中期の見方を切り分け、KPI開示と資本政策の運用に注目して臨みたい案件です。



