2025年12月5日、株式投資型クラウドファンディングのパイオニアである株式会社FUNDINNO(証券コード:462A)が、東京証券取引所グロース市場に上場します。
未上場企業への投資を個人に開放し、日本における「ベンチャー投資の民主化」を牽引してきた同社。これまで資金調達を支援してきた立場の企業が、自らIPOを果たすという象徴的な上場です。
本記事では、有価証券届出書をもとに、事業内容、オファリング概要、株価の考察、そしてFUNDINNO特有の上場意義を詳しく整理します。
会社概要・事業内容
株式会社FUNDINNOは、2015年に設立されたFinTech企業で、日本初の「株式投資型クラウドファンディング(ECF)」プラットフォームを運営しています。
主力サービス「FUNDINNO」は、未上場ベンチャー企業が自社株式を発行し、個人投資家が1口10万円程度から出資できる仕組みを提供。これまでベンチャーキャピタルなど機関投資家に限られていた成長企業への投資機会を、一般個人にまで拡大した点が最大の特徴です。
また、出資後の企業情報開示・支援を行う「FUNDINNO MARKET」では、未上場株式のセカンダリー取引(流動化)も可能とし、スタートアップ投資の循環型エコシステムを構築しています。
金融庁登録の第一種少額電子募集取扱業者として、厳格な法令遵守体制を持つことも同社の信頼性を高めています。AIによる案件スコアリングやリスク分析など、金融DXの最前線を走る存在として業界内でも注目されています。
IPO時のオファリング概要
証券コード:462A
上場市場:東京証券取引所グロース市場
業種:情報・通信業
想定価格:570円
公募株数:87,700株
売出株数:2,330,000株
オーバーアロットメント:362,600株
オファリング株数合計:2,417,700株(OA除く)
想定公開規模:約13.78億円(OA含む最大約15.85億円)
時価総額(上場時想定):約131.6億円
仮条件決定日:2025年11月18日
ブックビルディング期間:2025年11月27日〜12月2日
公開価格決定日:2025年11月26日
購入申込期間:2025年11月27日〜12月2日
払込期日:2025年12月4日
上場日:2025年12月5日(金)
主幹事証券:野村證券
株価についての考察
想定価格570円を基準とした上場時の想定時価総額は約131.6億円。公開規模(OA含む)は約15.8億円と、グロース市場の中では中型案件に位置します。
注目すべきは、公募よりも売出株が大幅に多く、全体の約96%を占める点です。これは、既存株主の一部が持株を流動化する意図を持つ一方で、上場後の株主分布を整理する戦略的構成とみられます。
FUNDINNOの収益モデルは、案件掲載・成約手数料を中心とするプラットフォーム収益です。案件数や投資家数の拡大が収益に直結する構造で、スケール効果による利益率向上が期待されます。ただし、現時点では黒字転換途上であり、利益成長の持続性が株価評価の鍵となります。
過去の類似上場(ZUU〈4387〉、マネーフォワード〈3994〉の初期ステージ)と比較すると、PER40〜50倍水準の評価が意識されるレンジ。テーマ性が強く個人投資家の関心も高いため、初値は需給と話題性によって想定価格を上回る展開が見込まれます。
一方で、事業の特性上「案件審査の質」「投資家保護」「流動性リスク」が常に問われる領域であり、短期的な人気と長期的な成長性を見極める視点が重要です。
当該IPOの特殊なポイント
FUNDINNOのIPOは、単なるFinTech企業の上場に留まりません。
最大の特徴は「未上場企業の資金調達を支援してきた企業が、自ら市場で資金を調達する」という構図にあります。これは、日本のスタートアップエコシステムが“成熟期”に入りつつあることを象徴する動きです。
さらに、「FUNDINNO MARKET」による未上場株式の流通という取り組みは、上場後の成長ドライバーとして注目されます。流動性を持たない未上場株式市場にセカンダリー取引の仕組みを導入した点は、国内では極めて先進的。今後、個人投資家がより自由にベンチャー投資を行えるインフラへと進化する可能性があります。
また、金融庁登録の第一種少額電子募集取扱業者として認可を受けており、法制度下での信頼性を確立している点も他社と一線を画します。コンプライアンスとテクノロジーの両立が、同社の中長期的成長基盤を支えています。
まとめ
FUNDINNOの上場は、日本における「スタートアップ投資の民主化」を象徴する出来事です。
これまでベンチャー企業の資金調達を支援してきた同社が、自らのIPOを通じて新たな資金循環のモデルを提示しました。FinTech企業としてのテーマ性、社会的意義、そしてプラットフォームとしての拡張余地の大きさから、上場初期は高い注目度が予想されます。
一方で、利益成長の安定性や案件審査リスクなど、事業構造上の課題も存在します。
それでも、FUNDINNOが描く「誰もがイノベーションに投資できる世界」というビジョンは、資本市場の新しいステージを切り開く挑戦として、今後の日本のIPO史において重要な一歩となるでしょう。



