【IPO】479A PRONIの新規上場

PRONI(プロニ)は、中小企業向けのBtoB受発注プラットフォーム「PRONIアイミツ」を展開する企業です。2025年12月24日、東証グロース市場に新規上場する予定であり、DX・SaaS・AIといったテーマ性の高い領域と、中小企業の経営課題解決という社会性の高いミッションを兼ね備えたIPOとして注目されています。本記事では、事業内容とオファリング条件、株価の論点、そしてこのIPOならではのポイントを整理していきます。

会社概要・事業内容

PRONIは2012年10月に前身のユニラボとして創業され、現在は東京都品川区に本社を置いています。掲げるパーパスは「中小企業の挑戦を支援し、日本経済の再成長に貢献する」。その中核にあるのが、企業間マッチングプラットフォーム「PRONIアイミツ」です。

「PRONIアイミツ」は、システム開発、SaaSツール、AI関連サービス、マーケティング支援、人事・総務、士業サービスなど、100以上のカテゴリーに対応する総合型の受発注プラットフォームです。累計64万件を超えるマッチング実績、24万社に及ぶ発注企業、1,000社超の課金受注企業というスケールを背景に、発注・受注双方のビジネスを支えています。

サービスの特徴は、「データ×AI」と人的支援の組み合わせです。創業以来蓄積してきた詳細なマッチングデータと生成AIを活用し、発注企業の要件を構造化したうえで最適な受注候補を抽出します。そのうえで、DXコンシェルジュと呼ばれる専門スタッフが、発注企業の経営課題やニーズをヒアリングし、候補企業の選定や発注の伴走支援を行うことで、高い精度と満足度を両立させる仕組みになっています。

収益構造としては、発注企業の利用は原則無料とし、受注企業からマッチング課金、月額課金、成約手数料などを受け取るモデルです。SaaS・IT関連領域ではマッチング課金、役務サービス領域では月額課金を中心に設計されており、取引量に応じた変動収益と、月額課金によるストック性を組み合わせたハイブリッド型のビジネスとなっています。

直近の業績を見ると、2024年12月期の売上高は約21.98億円、経常損失は約3.83億円と赤字が続いていましたが、2025年12月期には売上規模をさらに拡大しつつ、利益面で黒字転換を果たしつつある点が特徴です。成長投資フェーズから、収益性を意識したフェーズへとギアチェンジしているタイミングでの上場と言えます。

IPO時のオファリング概要

証券コード:479A

上場市場:東証グロース

業種:情報・通信業

想定価格:1,730円

公募株数:250,000株

売出株数:1,479,300株

オーバーアロットメント:259,300株

オファリング株数合計:1,988,600株(公募+売出+OA)

想定公開規模:約34.4億円(想定価格ベース)

時価総額(上場時想定):約75.8億円(想定価格ベース)

仮条件決定日:2025年12月5日

ブックビルディング期間:2025年12月9日~12月15日

公開価格決定日:2025年12月16日

購入申込期間:2025年12月17日~12月22日

上場日:2025年12月24日

主幹事証券:大和証券

株価についての考察

想定価格1,730円ベースの時価総額は約75.8億円、吸収金額は約34.4億円と、東証グロースとしては中型寄りの案件です。テーマ性の高さとビジネスのスケール感を考えると、規模感としては「やや重いが過大とまでは言えない」中庸ゾーンに位置付けられます。

一方で需給面を見ると、オファリングレシオが41.8%とかなり高く、公募比率が1割強にとどまる一方で、売出比率が4割近くに達している点は注意材料です。上場にあたり新たに調達する資金はおおむね40億円弱規模となる一方で、市場に放出される株式の多くが既存株主による売出であるため、「事業成長資金のための上場」というより「既存株主のイグジット色もそれなりに強い案件」とも解釈できます。

業績面では、2024年12月期は赤字ですが、2025年12月期には売上高約23億円、経常利益約3.2億円、当期純利益約4.6億円と黒字転換を果たしており、トップライン・利益ともに伸長しています。単純な前期ベースの指標だけを見るとPER・PBRは割高にも映りかねませんが、黒字化初年度という位置付けと今後の成長余地を踏まえると、「テーマ性のあるグロース株としては許容レンジ」と見る向きもあるでしょう。

市場コンセンサスとしては、初値は想定価格比で小幅な上昇にとどまるとの予想が多く、1.0~1.3倍レンジを想定する評価が目立ちます。短期での大幅な初値高騰を狙うというよりも、事業の成長ストーリー・黒字化の持続性に賭けて中期スタンスで捉えるべき銘柄という印象です。

当該IPOの特殊なポイント

このIPOならではのポイントとして、まず挙げられるのが「総合型BtoB受発注プラットフォームとしてのスケールとデータ資産」です。一般に、BtoBマッチングは特定領域に特化したニッチなサービスになりがちですが、PRONIはIT・SaaS・AIから販促、人事・総務、士業まで、横断的なカテゴリーを抱える総合型プラットフォームです。64万件のマッチングデータと、24万社の発注企業、1,000社超の課金受注企業という“量”に加え、取引規模や成約情報、経営課題といった“質の高い一次データ”を蓄積している点は、AI活用や追加プロダクト展開の面で大きなオプション価値となります。

二つ目のポイントは、「黒字転換タイミングでの上場」であることです。赤字グロースのまま上場するケースが少なくない中で、PRONIは2025年12月期で黒字化を果たしつつ上場を迎えます。これは、IPO後に追加の大型増資や希薄化を頻繁に行わなくても、自走可能なビジネスモデルに近づきつつあることを示唆しており、中長期投資家にとっては安心材料と評価できます。

一方で、三つ目のポイントとして、「VC比率の高さとロックアップ条件」が挙げられます。主要株主には複数のベンチャーキャピタルが名を連ねており、ロックアップは90日または360日+1.5倍解除という条件が一般的です。初値形成後、株価が公募価格の1.5倍水準まで上昇した場合には売却余地が生じるため、一定の水準を超えた局面では VC 等からの売り圧力が意識されやすい構造です。

さらに、上場日が12月24日という年末かつクリスマスイブである点も、実務的には意識されます。市場参加者が薄くなりがちなタイミングでの上場であり、良くも悪くも初値形成におけるボラティリティが高まり得る環境です。同日前後には他のIPOも控えているため、資金分散の影響も踏まえて需給を見定める必要があります。

まとめ

PRONIのIPOは、「総合型BtoB受発注プラットフォーム」というユニークなポジションと、大規模なマッチングデータ・AI活用という強いテーマ性を持つ一方で、高めのオファリングレシオと売出中心の構成、そしてVC比率の高さという需給面のリスクを併せ持つ案件です。

想定価格1,730円・時価総額約75.8億円・吸収金額約34.4億円という条件は、成長性と黒字転換を踏まえれば極端に割高とは言えない一方、需給要因だけを見れば初値の大幅な上振れを阻む要因にもなり得ます。短期の初値狙いであれば、仮条件のレンジ、需給予想、同日上場銘柄の動向を慎重に見極める必要があるでしょう。

中期の視点では、64万件のマッチングデータと24万社の発注企業基盤をもとに、追加のSaaSプロダクトやAIサービス、人材・金融など隣接領域への展開余地もあり、オプション価値を評価できる銘柄です。DX・AI 文脈のBtoBプラットフォームに関心のある投資家にとっては、事業のトラクションと収益性のバランスの変化を追いかけていきたいIPOと言えるでしょう。